日本人がん患者に対する問題解決療法について

「がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有用性に関する研究」班の開発した「日本人がん患者に対する問題解決療法 (Problem-solving therapy for the Japanese cancer: PST-JC)」は、イギリスのプライマリーケアの領域で開発されたMynors-Wallisらの問題解決療法プログラムの理論に準拠しつつ、Nezuらの問題解決療法のアプローチを折衷し、開発されました。

PST-JCでは、 【Step 0】心配/問題の傾聴/評価; 【Step 1】心配/問題の明確化; 【Step 2】現実的目標設定; 【Step 3】解決策の生成; 【Step 4】実行可能な解決策の選択; 【Step 5】解決策の実行と結果の評価の段階を置いています。

このプログラムを、乳がん患者に対して個人心理療法として実施、また複数のがん患者によるグループ療法として実施して、気分の改善やプログラム参加に対して高い満足度を得られています。

このプログラムは、日本人がん患者への適用に最適化されるように開発されましたが、他の身体疾患の患者やうつ病患者の復職支援への応用などさまざまな対象への適応が可能です。実際に、精神科外来での復職支援のグループ療法にも応用されています。