医療心理学・行動医学に関するネットワーク

12月, 2013のアーカイブ

【学会報告】第26回総合病院精神医学会に参加して

水曜日, 12月 18th, 2013

 2013年11月29日-30日の2日間、京都で行われた第26回総合病院精神医学会に参加してきました。総合病院精神医学会は、医師はもちろん、看護師や臨床心理士などコメディカルも積極的に活動している学会で、比較的フランクな雰囲気のある学会だと感じます。全体的には、平成24年度の診療報酬改定により『精神科リエゾンチーム加算』(200点)が新設されたこともあり、“多職種連携”に焦点をあてた内容が多かったように見うけられました。

 今回参加して感じたことは、以下の3つです。

 まず、今後ますます身体医療において精神科的な治療(対応)が求められていくということです。今回の学会でも多数の症例発表がありましたが、統合失調症やうつ病など精神疾患を患っている人が糖尿病といった身体科の慢性疾患を患う場合から、身体科に入院した患者さんの背景に、認知症や発達障害からアルコール問題など精神科的な疾患が潜んでいる場合も考えられます。そして、こうした症例は決して少なくなく、今後ますます連携をとりながら対応する場面が増えていくことになると感じました。

 次に、やはりチーム医療や連携についてです。あるシンポジウムでは多職種チームの成熟を『野球型のチーム』から『サッカー型のチーム』になっていくとの発表がありました。多職種で働く中で、確かに役割分担は必要です。しかし、チームがスムーズに機能するには、たとえ違う職種であっても、ある程度他の専門的知識について知っておく必要性を示唆したものと思います。この表現は現場での体感と近いと思いました。また、ここからは私見ですが、共通した能力として『マネジメント』が位置づけられるように思います。ケース全体の進み具合や、ケースごとに求められる自分のポジショニングなど、全体を把握しながら専門性を発揮する(もしくは発揮しない)能力が重要なのかと感じました。

 最後に、今回の学会では、『医療従事者の健康支援委員会』に参加させて頂きました。1つ1つの病院では、精神科医師や臨床心理士が医療機関の精神保健を担当していることが多いようです。しかし全体として、医療従事者の精神保健上の課題は大きく、今後、この委員会で調査などを行っていく予定になっています。加えて、この取り組みには厚生労働省の医療労働企画官も参加されており、国の対策として医療従事者の精神保健の取り組みが進められていく方針のようです。

医療場面において、心理学や行動科学が貢献できることは今後ますます大きくなると感じます。

“現場での実感を研究に展開し、研究で得られた知見を現場に還元する”

現場と研究との“連携”を大切にするGrappoで、今後どのようなことに取り組んでいくかを考えていきたいと思います。

(文責:谷口敏淳)

第55回日本小児血液・がん学会学術集会@ヒルトン福岡シーホークに参加して

水曜日, 12月 18th, 2013

平成25年11月29-12月1日に開催された第55回日本小児血液・がん学会学術集会@ヒルトン福岡シーホーク(http://www.jspho.jp/2013fukuoka/)に参加しました。今年は15の小児がん拠点病院が指定されるなど、国をあげて小児がんの診療やサポートの体制を整えていこうという機運が高まっている年でもあります。そうしたこともあってか、前日には雪も降ったという寒空の福岡でしたが、とても賑やかな会となっていました。

この学会は毎年「日本小児がん看護学会」との併催となっているのですが、今回特別企画として「医師・看護師合同企画」が開催されていました。テーマは「日本における子どもホスピスの可能性と方向性を探る」というもの。自身のポスター発表と時間が重なっていたため初めしか聴けなかったのが残念でしたが、さまざまな立場で子どもと関わる医師や看護師が、シンポジストとして登壇していました。また今回の学会中には、世界で最初にできた英国の小児ホスピス創設者の招待講演もあり、ホスピス・緩和ケアがひとつの関心テーマとなっていることが伺えました。成人とは異なり、がん以外のさまざまな疾患をも対象とする小児緩和ケアの領域が、今後日本でどのように発展していくかはまだわかりませんが、この数年小児がん終末期支援をメインの研究テーマとして取り組んできた身として、関心の高さを感じられたことは、励みになりました。

また今回の学会では「Meet the expert」というプログラムがいくつか開催されていました。少数の若手医師が各種治療のエキスパートとなる専門家を囲みディスカッションを行うという、申し込み制の企画だったようです。7時半からというハードなスケジュールでしたが、こうした双方向的なやりとりを含むプログラムを取り入れることで、主体的に何かを持ち帰ることが、できるようになっていくのだろうと、興味深く思いました。

今回は打ち合わせ等々がいくつかあって十分に学会プログラムを満喫できなかったのですが、来年の岡山にて、今やっている研究の成果を発表できるよう、がんばっていきたいと思います。

(文責:吉田沙蘭)

【学会報告】第27回AIDS学会に参加して

月曜日, 12月 9th, 2013

11月20日〜22日に熊本で開催された第27回AIDS学会に参加しました。AIDS学会は、HIV/AIDS領域に関わる医療関係者、患者、NPO/NGO団体等全ての方が情報交換できる場として開かれています。HIV/AIDSの最新の知識を医療従事者のみならず、当事者の方も一緒に共有し、学べることが特徴です。

HIV感染症は治療の飛躍的な進歩により、完治は未だできないものの、免疫機能を安定させることはできるようになり、早期発見・早期治療ができればAIDS発症もおさえることができるまでになりました。すなわちかかったら死ぬという疾患ではなく、慢性疾患の一つとなったといえます。しかしながら療養が長期にわたることで、患者の抱える課題も様々になってきました。学会では、生活習慣病や喫煙、飲酒、薬物依存などの課題についての発表も見られました。行動医学の分野の発表はまだ無いに等しいですが、先に述べた領域や予防行動としてのスクリーニング検査受診やコンドームの使用など、取り組むことができそうな領域は多くあると感じました。

さて今回は「当科における長期療養を要する患者の検討」というテーマで口頭発表をしてきました。治療は飛躍的に進歩したとはいえ、脳症などのAIDS発症や、高齢に伴う脳血管疾患等による後遺症により、長期療養ができる医療機関や施設への入院・入所や、自宅に退院するにあたってのサービスの調整が必要になってくることもあります。しかしながらHIV感染症に対する偏見によって調整が困難になることが非常に多く、今回はその実態と課題について発表をしました。発表をまとめるにあたって、同職種だけでなく医師等の他職種の意見をいただきながら進める過程においては、それぞれの職種の視点を学ぶことができました。またその中でソーシャルワークの視点を改めて確認することもできたと思います。学会という場で研究を発表することの大切さを実感しました。また研究は発表することで終わるのではなく、明らかになった課題に対して現場で改めて取り組んでいくものだということも実感しました。

現場で働くことで精一杯という言い訳を自分にして研究や学会発表から遠ざかっていましたが、今回得られたことを大切にして研究にも取り組んでいきたいと思います。

(文責:黒田(長塚)美和)

15th World Congress of Psycho-Oncology and Psychosocial Academyに参加して

月曜日, 12月 2nd, 2013

11月6〜8日にロッテルダム(オランダ)で開催された15th World Congress of Psycho-Oncology and Psychosocial Academy に参加してきました。今年は、日本の先生方の発表も多かっただけでなく、浅井真理子先生(帝京平成大学)が賞を受賞されるなど、日本の研究がより世界へ伝わったのではないかと思います。

オープニングのセッションのテーマはサバイバーシップで、今年の日本サイコオンコロジー学会(JPOS)でもそうでしたが、サバイバーの仕事に関することが注目されていました。また、個人的な興味は、がん患者さんのニーズや心理的サポートサービス利用なのですが、ニーズについての研究発表が多く学びが多いものとなりました。そして、日本では見かけない、セクシュアリティに関するセッションがありました。セクシュアリティの問題と言えば私の中では女性のがん患者さんのことがぱっと出てきますが、そのセッションでは男性のがんについての発表もあり、個人的には未知の領域だったので勉強になりました。まだまだ日本では女性のがん患者さんの支援が多い印象をうけますが、男性がん患者さんの支援の必要性も感じました。

ポスター発表では、サバイバー支援、スタッフ教育に関する発表が多かった印象ですが、もちろん不安・抑うつ・睡眠障害・スピリチュアリティ・死に場所の選好に関する発表もありました。新しいなと感じたのは、子宮頸癌ワクチンの接種に関する研究です。親が子供にワクチンをうたせるかどうかについて計画的行動理論とその他の変数で検討されていました。日本ではその摂取についてはよくニュースにもなっていますし、日本で同様の研究をやったらどうなるのだろう!と思った次第です。

 

(私は参加していませんが、4〜5日のワークショップも内容が充実していてよかったと参加された先生がおっしゃっていました。)

 

今回の経験を励みにし、今後一層努力していきたいと思います。

(文責:松井智子)