医療心理学・行動医学に関するネットワーク

5月, 2006のアーカイブ

肺がん患者を対象とした外来化学療法に関する意思決定バランス尺度の開発

金曜日, 5月 19th, 2006

荒井弘和,平井 啓,所 昭宏,中 宣敬:肺がん患者を対象とした外来化学療法に関する意思決定バランス尺度の開発.行動医学研究 12: 1-7, 2006.

要 約
本研究では,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度を作成した.さらに,外来化学療法に関する意思決定のバランスと外来化学療法移行の変容段階との関連が検討された.本研究では,入院または外来通院によって化学療法加療中の肺がん患者105名を対象とした.外来化学療法に関する意思決定尺度を作成する目的で,外来化学療法に関する恩恵に関する質問19項目,および負担に関する質問19項目の合計38項目を用意した.探索的因子分析および分散分析によって,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,各10項目を含む2因子構造 (恩恵因子と負担因子) であることが明らかにされた.外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,内容的妥当性,構造的妥当性,因子的妥当性,および信頼性を持つことが確かめられた.さらに,熟考期,準備期,および実行期の3つの変容段階における恩恵標準得点と負担標準得点を布置したところ,準備期の周辺において,恩恵と負担の評価が交差していた.結論として,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,がん患者が外来で化学療法を受けるよう支援するために有効な評価指標になるだけでなく,退院支援のための患者教育の資料としても役立つことが予想される.

キーワード: 外来化学療法,恩恵,負担,トランスセオレティカル・モデル