医療心理学・行動医学に関するネットワーク

‘論文’ カテゴリーのアーカイブ

末期がん患者への病名告知とコミュニケーションの現状

月曜日, 6月 26th, 2006

平井啓, 原俊昭, 篠崎毅, 布施和美, 村田静枝, & 柏木哲夫. (2006). 末期がん患者への病名告知とコミュニケーションの現状. 緩和ケア, 16, 179-184.

遺族調査により、末期がん患者への病名告知の現状を明らかにしました。

要約

末期がん患者の介護経験がある遺族に対して、がん患者への病名告知に関して質問紙による調査を行った。対象は、商業用のサンプルから選ばれた。調査の結果、患者本人と家族両者への病名告知率は30%であり、現在の日本では病名告知はまだ十分には行われていない一方で、患者本人に対して病名告知が行われた家族は、病名告知したことに肯定的な評価であった。また、医療従事者とのコミュニケーションに対する満足度もそれほど高くはなかった。これらのことから、今後病名告知が広まっていくことは、患者本人と家族、さらには医療従事者にも恩恵をもたらすものであると考えられる。また、医療従事者と患者・家族間のコミュニケーションの改善がさらになされていく必要があると思われる。

肺がん患者におけるサポートネットワークサイズとその予測要因

月曜日, 6月 19th, 2006

塩崎麻里子,平井 啓,所 昭宏,荒井弘和,中 宣敬:肺がん患者におけるサポートネットワークサイズとその予測要因.心身医学 46: 883-890, 2006.

要約

肺がん患者98名を対象に質問紙調査を行い,認知しているサポートサイズの実態を把握し,サポートサイズを予測すると考えられる変数を探索した.その結果,認知されたサポートサイズは中央値が3名,平均が4.3±2.8名(男性4.6±3.1名,女性3.5±2.8名),回答範囲が0〜20名であった.また,階層的重回帰分析を行った結果,検討した予測変数のうち情緒的サポートよりもサポートサイズの分散を予測していたのは,患者の病気に対するセルフエフィカシーだけであり,精神的状態(HADS),身体的状態(痛み,PS,代表的な副作用),年齢,性別,受療方法(入院・外来),婚姻状態には,有意な関係が認められなかった.サポートサイズの認知は,患者の認知的特徴に影響を受けることが示唆された.

肺がん患者を対象とした外来化学療法に関する意思決定バランス尺度の開発

金曜日, 5月 19th, 2006

荒井弘和,平井 啓,所 昭宏,中 宣敬:肺がん患者を対象とした外来化学療法に関する意思決定バランス尺度の開発.行動医学研究 12: 1-7, 2006.

要 約
本研究では,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度を作成した.さらに,外来化学療法に関する意思決定のバランスと外来化学療法移行の変容段階との関連が検討された.本研究では,入院または外来通院によって化学療法加療中の肺がん患者105名を対象とした.外来化学療法に関する意思決定尺度を作成する目的で,外来化学療法に関する恩恵に関する質問19項目,および負担に関する質問19項目の合計38項目を用意した.探索的因子分析および分散分析によって,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,各10項目を含む2因子構造 (恩恵因子と負担因子) であることが明らかにされた.外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,内容的妥当性,構造的妥当性,因子的妥当性,および信頼性を持つことが確かめられた.さらに,熟考期,準備期,および実行期の3つの変容段階における恩恵標準得点と負担標準得点を布置したところ,準備期の周辺において,恩恵と負担の評価が交差していた.結論として,外来化学療法に関する意思決定のバランス尺度は,がん患者が外来で化学療法を受けるよう支援するために有効な評価指標になるだけでなく,退院支援のための患者教育の資料としても役立つことが予想される.

キーワード: 外来化学療法,恩恵,負担,トランスセオレティカル・モデル

Why are bereaved family members dissatisfied with specialised inpatient palliative care service? A nationwide qualitative study.

水曜日, 6月 15th, 2005

Shiozaki, M., Morita, T., Hirai, K., Sakaguchi, Y., Tsuneto, S., & Shima, Y. (2005). Why are bereaved family members dissatisfied with specialised inpatient palliative care service? A nationwide qualitative study. Palliat Med, 19(4), 319-327.

要約

終末期におけるケアを評価することは、ケアの質の維持、向上のために重要である。また、医療者の視点のみならず、実際に利用する患者や家族の視点が不可欠である。そこで本研究では遺族を対象に、ホスピス・緩和ケア病棟に対する不満足要因を探索することを目的とし、半構造化面接調査を行った。対象は、倫理委員会の承認を得た全国70施設のホスピス・緩和ケアを利用した患者の遺族1225名を対象とした全国質問紙調査において、ケアに対する評価得点が低かった遺族のうち面接調査への同意が得られた22名(60.57±9.60歳:男性10名)であった。面接は、平成15年4月~8月にかけて、心理学専攻の大学院生5名、看護師1名によって実施された。
内容分析を行った結果、遺族のホスピス・緩和ケア病棟に対する不満は、27カテゴリーに分類され、さらにそれらは7テーマ(緩和ケアの理念・ケアの質・ケアの質の格差・利便性・緩和ケア病棟の資源・緩和ケアに対する家族の認識・経済的問題)に類型化された。カテゴリーの信頼性の検討は、2人の独立したコーダーによって行われ、不満足カテゴリーの判定一致率は84.0%で、kappa係数は0.63であった。これらの不満の主な要因と考えられるのは、1) 希望を維持し続けるためのサポートが感じられないこと、2) 死に対する態度など、個別性が尊重されていると感じられないこと、3) 患者、家族に対するケアの質が低いと感じられたこと、4) スタッフの配置と設備、5) 入院を希望した時にすぐに入院できなかったこと、6) ホスピス・緩和ケア病棟についての情報が少ないこと、7) 家族の実質的・経済的負担であった。
本研究によって、遺族がホスピス・緩和ケア病棟でのケアに対して抱いていた多様な不満足の要因が明らかにされた。これらの結果を活かし、ホスピス・緩和ケア病棟におけるより良いケアの提供を実現することが求められている。

肺がん患者の外来化学療法移行の意思決定に関する探索的研究

日曜日, 5月 15th, 2005

平井啓, 所昭宏, 中宣敬, 小河原光正, & 河原正明. (2005). 肺がん患者の外来化学療法移行の意思決定に関する探索的研究. 肺癌, 45, 319-327.

肺癌患者を対象に、インタビューを行い、外来化学療法移行への意思決定について恩恵要因・阻害要因、それぞれの内容について明らかにしました。

看護師に対する構造化された心理学的サポートグループによる介入プログラムの開発に関する研究

土曜日, 5月 14th, 2005

平井啓, 平井麻紀, 前野正子, 保坂隆, & 山田冨美雄. (2005). 看護師に対する構造化された心理学的サポートグループによる介入プログラムの開発に関する研究. 心身医学, 45, 359-366.

看護師を対象に開発した「構造化された心理学的サポートグループ」の開発についてその有用性の一部を示すデータを紹介しました。

がん医療における行動科学的研究

土曜日, 5月 14th, 2005

平井啓. (2005). がん医療における行動科学的研究. 行動科学, 44(33-38).