医療心理学・行動医学に関するネットワーク

【学会報告】日本心理学会第73回大会 8月26日~28日 京都(2)

  8月26日から28日に立命館大学衣笠キャンパスで開催された日本心理学会に参加しました。私は、臨床に関連した学会に参加することが多いので、臨床や教育などの応用的な分野だけでなく、発達、認知、知覚、社会・文化、学習など の基礎的な分野まで幅広い研究の発表が行われる日本心理学会では、普段とは違う刺激を受けることを楽しみに毎回参加させていただいています。
今年度の学会では、2日目にアクセプタンス・コミットメントセラピー(ACT)の創始者であるスティーブン・ヘイズ先生の招待講演が行われました。内容は、行動療法の歴史、機能的文脈主義、関係フレーム理論、ACTの心理的(非)柔軟性モデルの説明に加え、去年邦訳もされたACTのセルフヘルプ本の効果を検証した研究や物質依存に対するACTの効果検証の研究などの紹介もされました。近年では、糖尿病患者のセルフマネージメントや慢性的な痛みに対しても効果があるという知見が得られているようです。私自身は、ACTの効果検証の研究だけでなく、ACTの心理的(非)柔軟性モデルを構成する8つの要素に関する基礎研究も同時に行われている点が非常に印象的でした。
今回、私は2日目の午後に大学生の抑うつ気分と日常生活における活動との関係:セルフモニタリング法による検討という題でポスター発表を行いました。内容は、大学生における抑うつ者は非抑うつ者と、対人的相互作用、学業、アルバイト、身辺活動、運動などの13の活動領域から感じる楽しさ・不快さの評定には、食事以外差がない一方で、抑うつ者は非抑うつ者よりも対人的相互作用の時間が短く、学業時間が長いというものでした。抑うつと対人的相互作用との関連については、古くから研究が行われていますが、抑うつ気分を報告する大学生は、対人的関わりを持っているときに、楽しいと感じていないわけではなく、対人的関わり自体が少ないという点は、大学生の抑うつ気分への介入を考える上でも、私自身は非常に興味深いと思っています。
私の研究と基本的には同じ考え方に基づいている「行動活性化」のシンポジウムが、同じ時間帯にあったにも関わらず、多くの先生方にポスターを見に来ていただけました。うつ病の臨床をされている先生からは、患者さんを診るときには、抑うつ尺度の項目ごとの得点を見て、1項目でも最高得点をつけているかどうか気をつけているというアドバイスをいただきました。私自身も以前から抑うつ群・非抑うつ群の分け方は悩んでいた部分でしたので、非常に参考になりました。また、反すうを研究している先生は、のんびりするなどの「休憩」をしているときに、統計的には有意ではなかったものの、抑うつ的な大学生は不快さを感じているという結果にご興味を持っていただき、面接などで何をしているかをもっと詳細に調べてみてはとのコメントをいただくなど、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
あっという間に3日間の開催期間が過ぎてしまいましたが、今回もとても楽しく、勉強になる学会を経験することができました。来年度は阪大で開催されるようなので、今からどんな大会になるか楽しみです。

(文責 伊藤 直)

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