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乳がん患者が子どもに自身の病気について説明する際の意思決定

乳がん患者が子どもに自身の病気について説明する際の意思決定に関する論文が、Supportive Care in Cancerのオンラインにてパブリッシュされました。ご関心のある方はご連絡ください。

A qualitative study of decision-making by breast cancer patients about telling their children about their illness. Saran Yoshida, Hiroyuki Otani, Kei Hirai, Akiko Ogata, Asuka Mera, Shiho Okada and Akira Ohshima. Supportive Care in Cancer 2009

【背景】学童期の子どもをもつ乳がん患者の多くが、自身の病気について子どもにどう伝えるべきかということに苦慮すると指摘されている。しかし、どのような要因が子どもに対する病気の説明を促す、あるいは妨げるのか、ということについては、これまでほとんど研究されてこなかった。本研究では、病気について子どもに説明する際の、乳がん患者の認識について明らかにすることを目的とした。

【方法】学童期の子どもをもつ乳がん患者30名を対象として半構造化面接調査を実施し、内容分析をもちいて解析をおこなった。

【結果】子どもに病気について説明する意思決定段階として、「検討中」「準備中」「入院および手術に関する説明実施」「化学療法に関する説明実施」「診断名に関する説明実施」「予後に関する説明実施」という6つの段階が同定された。また、子どもに病気に関して説明することについて、11の肯定的な側面と、10の否定的な側面が明らかとなった。多くの対象者が共通して言及した否定的な側面は、先行研究で指摘されているものと同様であったが、肯定的な側面は本研究にて新たに得られた内容が多かった。意思決定段階があがるにつれて、否定的な側面に関する発言は減少し、「診断名に関する説明」および「予後に関する説明」の段階では、否定的な側面と肯定的な側面に関する発言がほぼ同等の割合となっていた。

【結論】「入院および手術に関する説明」の段階にある患者は、肯定的な側面よりも否定的な側面について強く認識しているにも関わらず子どもに話さざるを得ない状況にある可能性があり、特に困難を抱えていると考えられた。したがって、こうした段階にある患者に対する他者からの支援が特に重要であると言える。

【コメント】近年子育て世代のがん患者さんへの支援に対する関心が高まってきています。がんへの罹患は、入院や治療、外見や家庭内での役割の変化をともない、家族への影響も避けられません。したがって、子どもに対して病気について話すことは、親子双方にとって非常に重要な課題となります。海外の研究では、子どもにも積極的に病気について伝えることが望ましいとされていますが、実際に病気について話すことは患者さんにとって負担をともなう作業であり、長所短所の双方を理解して支援にあたることが必要であると考えられます。本研究から得られた結果をもとに、患者さん用のパンフレットを作成しました。今後こうしたツールをもちいた介入の有用性を明らかにし、検討を重ねることが期待されます。

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