医療心理学・行動医学に関するネットワーク

日本ストレス学会2007

第23回日本ストレス学会学術総会でのシンポジウム「医療における心理学の果たす役割−心理的援助に向けた研究とその実践」において、「がんの補完代替医療における心理学研究の役割」というタイトルで平井が話題提供をしてきます。
近年、手術・抗癌剤治療・放射線療法などの通常のがん治療以外でがん患者が利用する治療法やサービスの総称を補完代替医療と呼ぶ。National Center for Complementary and Alternative Medicine (NCCAM)によると、補完代替医療は、通常の医療に含まれると考えられていない多様な医療のシステム、実践、製品のグループであり、補完医療は通常の医療と一緒に提供され、代替医療は通常の医療を置き換える形で提供されるものである。
一方で、医療における心理学の研究と臨床的な展開は、精神疾患の治療の一つとして位置づけられる心理学的介入の開発や実践に関するものと、身体疾患の患者の罹患に伴うストレス反応と対処におけるメカニズムの研究と援助方法の開発に関するものに分けることができる。
これらのことから、がん医療において、心理学に基づく介入方法の多くは、通常の抗癌治療や疼痛緩和などの緩和医療に加えて、患者の心理状態の改善やQOLの向上をアウトカムとしてなされており、補完医療の枠組みとして捉えることができる。また、いくつかの心理学的介入が心理状態を改善することに関するエビデンスが得られており、がん患者への心理学的援助は通常医療の一部と見なされるようになってきている。その意味では心理学的研究により介入の実証な知見を得ることが重要となる。さらに、補完代替医療を利用する患者の心理的背景の解明も重要な課題である。これが明らかになることによって患者への情報提供の仕方、コミュニケーションの方法を整理することが可能となる。
筆者は、がんの補完代替医療に関する研究班で、健康食品を利用する患者の心理的背景を明らかにする研究を行う一方で、補完代替医療の研究室で補完代替医療におけるQOL評価に関する研究に従事してきた。本シンポジウムではそれらの研究の紹介を通じてがんの補完代替医療における心理学的研究の役割について論ずる。

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