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死生観尺度

大阪大学大学院人間科学研究科臨床死生学・老年行動学研究室で作成した「死生観尺度」について簡単に紹介します。この尺度は、主に死に対するわれわれの価値観や態度を測定するものです。この尺度の特徴は、ある理論を実際に実証するために作成したのではなく、あくまでも網羅的に死に関する項目を集めてきて、それを統計的手法を用いて機械的に整理して行く過程で出来たものです。非常に多くのお問い合わせをいただく尺度ですが、この尺度作成について書かれた論文(平井 啓,坂口幸弘,安部幸志,森川優子,柏木哲夫:死生観に関する研究.死の臨床 23 (1): 71-76, 2000.)に書かれていること以上の解説は残念ながらできません。そのあたりをご了解いただいてご使用いただければと思います。

臨老式「死生観尺度」について

死生観尺度の概要
われわれの研究室の共同研究として、1999年に開発した尺度である。本尺度は、大学生384名に対して実施した調査の結果をステップワイズ因子分析・検証的因子分析を駆使して得られた。7因子27項目により構成されている。妥当性と信頼性の検証も行われており、再検査法による信頼性・基準関連妥当性・構成概念妥当性が確認されている。
未刊行のものではあるが、本尺度を元に、末期がん患者を対象に開発したバージョンのものもある。この尺度は、「死に対する積極性尺度」として開発された。
死生観尺度の出典論文
平井 啓,坂口幸弘,安部幸志,森川優子,柏木哲夫:死生観に関する研究.死の臨床 23 (1): 71-76, 2000.
死生観尺度関連の学会発表
中西健二,平井 啓,柏木哲夫「現代青年の臓器提供意思への影響要因に関する研究」 第22回日本史の臨床研究会年次大会
平井 啓,坂口幸弘,安部幸志,森川優子,柏木哲夫「死生観に関する研究(I)−死生観尺度の開発−」 第23回日本死の臨床研究会年次大会 1999.
坂口幸弘,平井 啓,安部幸志,森川優子,柏木哲夫「死生観に関する研究(II)−死生観尺度の信頼性及び妥当性の検証−」 第23回日本死の臨床研究会年次大会 1999.
森川優子,坂口幸弘,平井 啓,安部幸志,柏木哲夫「死生観に関する研究(III)−発達による死生観の変化−」 第23回日本死の臨床研究会年次大会 1999.
安部幸志,平井 啓,坂口幸弘,森川優子,柏木哲夫「死生観に関する研究(IV)−告知の関連性について−」 第23回日本死の臨床研究会年次大会 1999.
平井 啓,坂口幸弘,恒藤 暁,池永昌之,田村恵子,柏木哲夫:末期がん患者の死生観の評価に関する研究.第6回日本緩和医療学会総会 2001.
平井 啓,坂口幸弘,安部幸志「死に対する積極性尺度作成の試み」 日本社会心理学会第43回大会 2002.
死生観尺度の項目
7 当てはまる 6 かなり当てはまる 5 やや当てはまる 4 どちらともいえない
3 やや当てはまらない 2 ほとんど当てはまらない 1 当てはまらない
項目 選択肢
第1因子.死後の世界観
死後の世界はあると思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
世の中には「霊」や「たたり」があると思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死んでも魂は残ると思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
人は死後、また生まれ変わると思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第2因子.死への恐怖・不安
死ぬことがこわい。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
自分が死ぬことを考えると、不安になる。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死は恐ろしいものだと思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
私は死を非常に恐れている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第3因子.解放としての死
私は、死とはこの世の苦しみから解放されることだと思っている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
私は死をこの人生の重荷からの解放と思っている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死は痛みと苦しみからの解放である。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死は魂の解放をもたらしてくれる。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第4因子.死からの回避
私は死について考えることを避けている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
どんなことをしても死を考えることを避けたい。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
私は死についての考えが思い浮かんでくると、いつもそれをはねのけようとする。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死は恐ろしいのであまり考えないようにしている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第5因子.人生における目的意識
私は人生にはっきりとした使命と目的を見出している。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
私は人生の意義、目的、使命を見出す能力が十分にある。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
私の人生について考えると、今ここにこうして生きている理由がはっきりとしている。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
未来は明るい。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第6因子.死への関心
「死とは何だろう」とよく考える。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
自分の死について考えることがよくある。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
身近な人の死をよく考える。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
家族や友人と死についてよく話す。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
第8因子.寿命観
人の寿命はあらかじめ「決められている」と思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
寿命は最初から決まっていると思う。 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
人の生死は目に見えない力(運命・神など)によって決められている 7 – 6 – 5 – 4 – 3 – 2 – 1
死生観尺度の使用上の注意
本尺度は、当Webから項目を自由に引用し使用することができる。ただし、各研究者の責任において使用し、全項目を使用するか、因子毎に抜粋する形で使用する場合には、信頼性・妥当性の保証はなされるが、それ以外の形態での使用については、信頼性・妥当性ともに保証されない。
項目をランダムに並び替えること
因子毎の得点は、因子に属する項目の得点(1点〜7点)を単純加算する。
5件法にして使用することも可能であると思われるが、未検証である。
本尺度を用いた結果を発表する場合は、かならず出典を引用すること。

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