医療心理学・行動医学に関するネットワーク

【学会報告】健康心理学会WS・健康心理学におけるfeasible, effective, meaningfulな研究計画の立案に向けて

9月12日に江戸川大学(千葉県柏市)で開催された日本健康心理学会において,研究計画の立案に関するワークショップが開催されました。平井先生より研究プロトコール立案プロセスについてのレクチャー,ついで指定討論者である自治医科大学の石川先生より,企業や行政との共同研究や実践のご経験に基づき,心理学の研究成果を政策に取り上げてもらえるための秘訣に関するレクチャーをいただきました。その後,私は人工透析患者の治療開始時のパーソナリティ変数や物事に対する態度が,その後の治療コンプライアンス行動や合併症発症とどのように関係するかを検証するための研究プロトコールについて提案を行い,ディスカッションの俎上にのせていただきました。ディスカッションでは様々なコメントを頂戴しましたが,全体を通して「心理学研究としての信頼性と妥当性を一定水準に保つ(用いる質問項目や概念の充実)」と「実行可能性を担保する(限られた質問項目数と他領域からみた使用概念のわかりやすさ)」の両立が,心理学者が医療領域で常に抱える一貫したジレンマであること,そして,このジレンマに対して,各研究ごとに,研究者(研究チーム)が基準・方針を設定したうえで(例:心理学研究であることを追及できるフィールドであればそれを重要視する,まずは心理についてわかってもらう段階のフィールドであれば実現可能性の方を重視するなど),研究プロトコールの整理を行っていく必要があることを感じました。最後に2つ。まず,ワークショップでは,「一人だけで研究をしない」ことの重要性を改めて再確忍しました。次に,人前で研究計画を発表し検討していただくという機会は,研究者として独り立ちすると,なかなか得られるものではありません。またそうした機会があったとしても「こんなこともわからない自分をさらすこと」や「アイデアを人に話すことの恐れ」から,チャレンジにしり込みすることも多いのではないかと思います。今回のワークショップで発表させていただいたのは,若手の参加者に対して「研究は,計画段階でいかに多様な人とディスカッションできるかによって,その質が決まるのだ」ということや「人とコミュニケートしながら研究を行うことの楽しさや重要性」を,私自身が発表することそのものによって伝えられれば…という気持ちがあったことを最後に記して筆をおきたいと思います。

(分析:中村菜々子)

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